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スペシャルインタビュー③ NPO法人ニモカカ 和田芽衣さん/ハタケノハゴロモ✳︎ソウマヒカリさん
#インクルージョン「同じ作業を、同じ時間、同じ場所で」。ニモカカが飯能でつくる、人と人が出会う時間

トントゥフェスティバルで出会う人やもの。その背景には、それぞれの思いや物語があります。
今回取り上げるのは、飯能を拠点に活動するNPO法人ニモカカ。
持病や基礎疾患、障がいのある子どもや大人、その家族が楽しく生活していけるようにと、インクルーシブワークショップや福祉防災、カフェなど、さまざまな活動を続けています。
ワークショップ、防災、カフェ。一見すると異なる取り組みですが、その根っこには、ニモカカが長く大切にしてきた共通の考えがあります。
今回は、代表理事の和田芽衣さんを中心に、ニモカカの活動に関わるソウマヒカリさんにもお話を伺いました。
和田さんの話から見えてきたのは、障がいについて説明することから始めるのではなく、まずは同じ場所にいて、一緒に何かをやってみることの大切さです。
「ただただ同じ作業を、同じ時間、同じ場所でやる」
ニモカカがつくり続けてきたのは、そんな時間でした。
「私たちが、みんなに来てもらえばいい」

キャプション:子どもも大人も輪になり、一緒に作業に取り組むワークショップの様子
ニモカカの活動のひとつが、持病や障がいのある子も、ない子も一緒に参加するインクルーシブワークショップです。
和田さん自身、持病のある子どもを育てるなかで、イベントに参加するときには、「迷惑をかけないかな」「子どもが寂しい思いをしないかな」と考えることがあったといいます。
障がいや持病があっても、みんなと一緒に過ごせる時間がほしい。
それなら、どこかに参加しに行くのではなく、私たちがみんなに来てもらえばいい。
そんな発想から、ワークショップが始まりました。
特徴的なのは、ニモカカだけですべてを用意するのではなく、飯能で活動する作家さんや思いのある人たちに講師として来てもらい、一緒につくっていることです。
講師から作業の提案があれば、「この作業はうちの子たちには難しいかもしれない」と伝え、「じゃあこういう工夫をしたらそういう子でもできる」という方法を一緒に考える。筋力の弱い子のために、道具を工夫することもあります。
和田さんは、その準備の話し合いのなかにも、お互いを理解できる時間があるのではないかと話します。
地域の人の得意なことが、ニモカカの活動に加わっていく

キャプション:藍染めの準備を進めるソウマさん
そんなふうにニモカカの活動に関わってきた一人が、ソウマヒカリさんです。
飯能へ移住し、畑で綿や藍などを育てながら「ハタケノハゴロモ」としてものづくりを続けているソウマさん。
もともと福祉の仕事をしたことはありませんでした。飯能の福祉事業所「にこにこハウス」でアトリエの立ち上げを手伝い、その後約5年間、業務委託で関わります。そのなかで和田さんと出会い、10年ほど前から、ニモカカの前身となる活動にも関わってきました。
ニモカカとのワークショップで最初に取り入れたのは、藍染めでした。畑で育てた作物を大切に思ってもらえたこと、そして藍染めがワークショップに一番取り入れやすかったことが理由でした。
「本当に畑で作ったものを生かしていただけて、すごく感謝しています。自分一人だけの力だとやっぱりできないですね。」
一人でつくり続けているだけでは、こうしたきっかけは生まれなかったといいます。
ニモカカに関わるのは、講師だけではありません。ワークショップにずっと参加してきた人が、今度はボランティアとして手伝う側に回ることもあります。防災に関心のある人は防災へ、ほかの活動に興味のある人はそちらへ。
それぞれが少しずつ時間を出し合いながら、ニモカカの周りには人のつながりが広がってきました。
「教える」のではなく、まず一緒にいる

キャプション:染め上がった布を、参加者みんなで広げる
ワークショップの場で、和田さんたちは子どもたちに障がいについて講義をしたり、何かを教えたりしてきたわけではありません。
大切にしてきたのは、「ただただ同じ作業を、同じ時間、同じ場所でやる」ことです。
学校では「障がい者理解」や「共に生きること」について話を聞く機会があっても、実際に障がいのある子とない子が一緒に過ごす機会そのものは、まだつくりにくいのが現状だといいます。
また、障がいのない子どもを育てる家族からは、「どう教えたらいいのかわからない。でも拒否しているわけではない。ただ機会がないだけ」という声も聞いてきたそうです。
ならば、まず一緒にいられる場所をつくる。一緒に過ごす時間が増えていくなかで、少しずつ慣れていく。
「そこから全ては始まると思っている」と、和田さんは話します。
そうした場に関わり、人との出会いを重ねるなかで、ソウマさん自身の人の見方も変わっていったといいます。それまで周りにはデザインやアートに関わる友人ばかりだったというソウマさん。
福祉の現場で、それまで接点のなかった人たちと出会うなか「なんか、人ってボーダーレスだなって思いました」と振り返ります。
障がいがあるかないかに関わらず、人は本当にそれぞれ違うのだと感じ、「すごく世界が広がりました」と話していました。
活動の始まりは、「仲間に出会いたい」

キャプション:これまでの活動について、インタビューで話す和田さん
ニモカカの原点には、和田さん自身の子育てがあります。
横浜で生まれ育ち、20代の頃に仕事の都合で飯能へ移った和田さん。その後、生まれたお子さんに先天性の難病があることがわかりました。
病院へ通い、病気の進行によっては命のリスクもある子どもを育てる日々。飯能は地元ではなく、近くに友達もいないなかでの、初めての子育てでした。
つらいことも、子育ての喜びも、酸いも甘いも一緒に話せるような仲間に出会いたい。活動は、そんな思いから始まりました。
2014年、同じような人に出会えるかもしれないと、子どもを連れて東京で開かれた希少難病の啓発イベントに足を運びました。けれど、タイミングが合わず、当事者の人とは会えませんでした。
東京で誰かに出会えたとしても、埼玉へ戻ればまた寂しい思いをしてしまう。だったら、自分たちが暮らす場所で啓発のイベントをやりたい。
和田さんは、そのときの思いを「狼煙」という言葉で表現します。同じような経験をしている人が来てくれて、出会えたらいい。そう考えて、2015年、実際に啓発イベントを開きました。
そこで初めて、難病のある子どもとその家族に出会えました。町で長く福祉を築いてきた先輩たちも応援に来てくれて、その雰囲気のなかに初めての人も加わり、少しずつ仲間が増えていきました。
飯能でもらったものを、次の人へ

キャプション:飯能の湖畔で行われたワークショップ。人が集まり、同じ時間を過ごす
活動を始める前、和田さんは横浜へ戻るか、飯能で暮らし続けるかを悩んだことがありました。
横浜には昔からの友人もいて、力になってくれる人もいる。
一方、飯能では、福祉に関わる店や人の姿が町のなかで身近に見えたといいます。どこへ子どもを連れて行っても、親子にやさしい町でもありました。
夫と話し合い、「人とのつながりっていうのを求めるなら、もしかしたらこっちかもしれない」と、飯能で暮らしていくことを決めます。
それが2014年のこと。もう飯能を離れないと決めたことが、活動を始めるきっかけにもなりました。
活動をする側になってからは、地域の先輩たちから受け取ってきたものの大きさにも気づきました。
和田さんは、それを「バトン」と呼びます。
長年頑張ってきた先輩たちがいたから、暮らしやすく、守られている部分がたくさんある。これまではそれを「シャワーのように浴びるだけだった」けれど、自分たちが活動するようになって、それを守る苦労もわかってきた。
だから、「自分たちが頑張ろう」というよりも、次につながなければという気持ちで活動を続けています。
災害時にも必要なのは「日頃のお付き合い」
普段から人と人が出会っておくこと。
その考え方は、ニモカカが取り組む福祉防災にもつながっています。
車いすを使う人や寝たきりの人、薬を飲んでいる人などが、災害が起きたときにどう避難すればいいのか。どんなサポートがあればいいのか。
この活動には、長年、障がいのある子どもたちの防災に力を注いできた人が新たに仲間に加わっています。地域を超えて、ほかの家族とつながりながら進めています。
和田さんたちが話し合うなかでたどり着いたのは、避難場所や手順といった書面上のことよりも、「日頃のお付き合い」が大切だということでした。緊急時にいきなり「助けて」と言うのではなく、普段から関係をつくっておく。
そのため、防災のワークショップにも必ず遊びの要素を入れ、当事者だけでなく同年代の子どもたちにも来てもらっています。車いすの介助を体験したり、チームでクイズを解いたり、一緒に食事をしたり。
ここでも、まずは同じ場所で同じ時間を過ごすことから始まります。
「いつでも来られる場所」を、日常のなかに

キャプション:扉の向こうに広がる、ニモカカのカフェ
そして2025年4月、ニモカカが長年思い描いてきた常設のカフェがオープンしました。
それまでも交流会は開いてきましたが、タイミングが合わなかったり、その日に体調を崩したりすれば参加できません。
家族や子どものタイミングで、いつでも行ける場所があったらいい。
活動を始めた頃から「いつかできたらいいね」と話してきた願いでした。
その願いを形にするために声をかけてくれたのは、新しく開院した小児科クリニックでした。ニモカカの活動に目を留め、いつでも来てもらえる場所をつくりたいという思いを聞くと、「じゃあ一緒にやりましょう」と言ってくれたといいます。
カフェには、近所の人も、山登りのお客さんも、小児科を訪れた人もやって来ます。そのなかに、車いすを使う人や、外からはわからない持病のある人も、当たり前にいる。
和田さんは、それを「なんとなく許されている空間」と表現します。和田さん自身も、子どもが小さかった頃、近所のお店のキッズコーナーや、おいしいコーヒー、「いいよ」と言ってくれる町の人たちに救われてきました。
その恩返しのような気持ちで、あのとき良かったと思うものを、カフェに全部詰め込んだといいます。

キャプション:店内には、藍染めの布や作品が飾られている
和田さんにとってカフェは、ワークショップの延長線上にある場所です。
ワークショップから始まった「一緒に過ごす」時間は、防災やカフェへと形を変えながら、飯能の日常のなかに広がっています。
トントゥフェスティバルで、ニモカカの活動に触れてみませんか

キャプション:ワークショップで染め上がったハンカチ。一枚ずつ異なる模様に仕上がりました
今年のトントゥフェスティバルでは、10月3日(土)に、ニモカカ&ソウマヒカリによる「草木染めハンカチづくり」を開催します。
飯能産の草木を使い、自分だけのハンカチを染めるワークショップです。お子さまから大人まで楽しめます。記事でご紹介したニモカカの活動や思いに触れながら、ぜひ会場で同じ時間を過ごしてみてくださいね♩
また、「インクルーシブお茶会体験」では、福祉事業所で作られた抹茶や茶碗、茶杓を選び、茶菓子とともに、飯能の藍で染めた風呂敷に包んでお持ち帰りいただけます。
この風呂敷もNPO法人ニモカカ&ハタケノハゴロモ✳︎ソウマヒカリによるものです。
▶️ 草木染めハンカチづくりの詳細・お申し込みはこちら
体験ワークショップ|トントゥフェスティバル2026
▶️インタビュー動画はこちら
ソウマさん、和田さんをはじめ、トントゥフェスティバルに関わる皆さんのインタビューをご覧いただけます。
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